報道によると、平成30年(2018年)5月1日、京セラ創業者の稲盛和夫氏が考案した「アメーバ経営」に関する企業秘密を不正に持ち出したとして、京都府警が、42歳の男性を、不正競争防止法違反(営業秘密の領得)の被疑事実で、送検したとのことです。

自宅から業務用パソコンで会社のサーバーに接続し、経営のコンサルティング情報を私用パソコンに不正に送信し、秘密を得たとされています。
平成29年8月、男性の勤務先が、警察署に告訴をしていたそうです。

不正競争防止法は、営業秘密の不正な取得・領得・不正使用・不正開示行為のうち、一定の行為について、刑事罰の対象としています(同法21条1項、2項)。
法定刑としては、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金(又はその両方)となっています。なお、この罪は、「親告罪」となっており、被害者企業等の告訴が必要です。

刑事罰の対象となる行為は、類型ごとに列挙されています。例えば、

・図利加害目的で、詐欺等行為又は管理侵害行為によって、営業秘密を不正に取得する行為

・不正に取得した営業秘密を、図利加害目的で、使用又は開示する行為

などが規定されています。

ポイントは、「図利加害目的」があったかどうかです。
図利加害目的とは、行為者が自己もしくは第三者の利益を図ったか(利得)、本人に損害を加える目的があったか(侵害)という意味です。

もし、この罪を犯してしまった場合は、被害者企業等と示談をすることが重要です。
親告罪となっているので、企業が告訴をしなければ処罰はされません。
心当たりのある方は、当事務所にすぐにご相談ください。