このページには、保釈手続きについての解説、よくある相談が書かれています。

保釈とはなんですか?

・逮捕されても保釈で出れると聞きました。保釈とはなんですか?

⇒ 保釈とは、勾留されている被告人を、保釈金と引き換えに、暫定的に釈放する手続きです。
つまり、保釈を請求できるのは、起訴された後です。したがって、逮捕中に保釈制度は使えません。

・保釈はどのような場合に認められますか

⇒ 保釈はどのような場合でも認められるというわけではありません。

保釈が認められる場合として、①権利保釈と、②裁量保釈という場合にわけられます。

権利保釈と裁量保釈

権利保釈

権利保釈は、以下の例外事由に当てはまらなければ、必ず保釈が認められます。

①被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。

②被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。

③被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。

④被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

⑤被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。

⑥被告人の氏名又は住居が分からない時

ただ、④と⑤が、法律上曖昧な記述なので、よく裁判所と弁護士の間で解釈等について争われることになります。
例えば、共犯者がいる場合は、④の、「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」にあたるとされる場合がほとんどです。

裁量保釈

裁量保釈とは、権利保釈が認められない場合に、裁判所が裁量で釈放することをいいます。

裁量保釈においては、犯罪の性質や情状、被告人の経歴、前科、健康状態、家族関係、訴訟の進行状況、証拠隠滅のおそれや逃亡のおそれが無いこと等が考慮され、判断されます。

一般的には、ご家族等の身元引受人が必要となります。
身元引受人がいることで、簡単に言うと、「逃げる可能性が少ない」と判断されるのです。
身元引受人には、家族や親族がいない場合や遠くにいる場合は、雇用主や、友人がなる場合もあり得ます。

よくある質問

・保釈金とは何ですか。いくらになりますか。
⇒ 保釈金(保釈保証金)とは、保釈が認められた場合に、裁判の判決までの間、担保として裁判所に預けるお金のことです。
保釈金の相場は、約100万円~200万円くらいが一般的です。もっとも、事件の性質や経済事情によって変動します。

・保釈金は返ってきますか。いつ返ってきますか。
⇒ 裁判所が付した条件に違反せず、きちんと裁判手続きを受ければ、たとえ有罪判決を受けても、裁判終了後にすべて返還されます。保釈金は、裁判終了後1週間程度で戻ってくるのが一般的です。

・保釈された後の生活はどうなるのですか。仕事や学校には行って良いのですか。
⇒ 基本的には、いままでどおり生活をしても良いことになります。
ただし、保釈が認められる場合でも、ほとんどの場合、住居制限があったり、旅行制限があったり、被害者や共犯者と接触することを禁止されたりする等様々な条件を付される事があります。
条件さえ守れば、一旦は日常生活に戻れるという事です。

・保釈金が用意できない場合はどうすればいいですか。
⇒ 日本保釈支援協会が、保釈金を立て替えてくれる場合があります。

保釈支援協会のページへ

日本保釈支援協会は、「かねてより刑事被告人の保釈について、保釈保証金の準備ができないため、困っている方々が大勢おられるということを聞き、保釈保証金に困っている方々の支援をすることを目的に集まった有志の団体」です。

手数料を支払えば、保釈金を立替える場合があります。立替えには条件があるので、当事務所の弁護士にご相談ください。ケースに応じて詳しくアドバイスを致します。

・保釈手続きの流れを教えてください。
⇒ 保釈の手続きは、弁護士等が保釈の請求書を裁判所に提出します。
その後裁判所は、保釈について検察官の意見を聴いた上で、保釈を判断します。
裁判所から許可が出たら、保釈金を納付します。
納付した後、保釈されて、勾留中の場所から出れることになります。
保釈請求をしてから判断がでるまでは、通常2~3日程度かかります。

・保釈申請が却下されました。どうすればいいですか?
⇒ 裁判官の判断に対して不服を申立てをする制度として、準抗告という制度があります。
裁判官の判断が誤っているとして、別の裁判官にもう一度検討をしてもらうという制度です。
また、保釈申請は何度でも出すことができます。ただし、一度却下された場合、次回は、新たな主張・新たな事実がないと、同じ結果となってしまいます。
裁判が進行すれば、保釈が通りやすくなるというケースも多くあります。