執行猶予判決を得た場合、その場では刑に服さなくてよいということになりますが、事後的に執行猶予が取り消されるケースがあります。
執行猶予が取り消された場合、その時点まで執行が猶予されていた刑についても併せて執行がされることになりますので、注意が必要です。

刑法は程度の異なる2つの執行猶予取消事由を規定しています。

①当該事由に該当すれば必ず執行猶予が取り消されるもの(必要的取消事由)
②当該事由に該当しても裁判所の裁量によっては執行猶予が取り消されない場合があるもの(裁量的取消事由)

①の必要的取消事由は以下の3つです。
ア 執行猶予の期間中に再度犯罪を起こし、その犯罪について禁錮以上の判決を受け、執行猶予がつかなかった場合
イ 執行猶予判決の確定前に起こした別の犯罪について禁錮以上の判決を受け、執行猶予がつかなかった場合
ウ 執行猶予の判決を受けた後、同判決の前に別の犯罪について禁錮以上の判決を受けていたことが発覚した場合(ただし、当該別の犯罪について刑の執行が終わった日等から5年を経過している場合、当該別の犯罪について執行猶予がついた場合は除く)

②の裁量的取消事由は以下の3つです。
ア 執行猶予の期間中に再度犯罪を起こし、その犯罪について罰金刑の判決を受けた場合
イ 保護観察付きの執行猶予判決を受けたが、その際の遵守事項を守らず、違反の程度が重大である場合
ウ 執行猶予の判決を受けた後、同判決の前に別の犯罪について禁錮以上の刑を受けたが、執行猶予がついたことが発覚した場合

上記の執行猶予取消事由に該当した場合、まずは検察官が裁判所に執行猶予の取消しを請求し、その後、裁判所が執行猶予の取消しを決定するという流れとなっています。
裁量的取り消しにあたる場合は、検察官とよく話す必要があります。