勤務先のお金に手をつけてしまう横領事件がニュースで報道されることがあります。

今回は、このような事件で罪を認める場合の示談交渉についてお話をさせて頂きます。

このような事件は、業務上横領罪(刑法253条 法定刑は10年以下の懲役)の問題として刑事事件になるのですが、示談成立のためには以下のポイントがございます。

①被害金額を確定することが重要。
②現実的な返済方法を示す必要がある。
③場合によっては、連帯保証人をつける必要もある。

まず①についてですが、被害金額が多額にわたる場合、刑事告訴がなされれば実刑が相当なケースもございます。そのため、勤務先との交渉を有利に進めるためには、まず被害金額がいくらであるかを確定することが重要になります。

続いて、②ですが、勤務先の経営者の方は大きな損害を受けたことにより、強い憤りを感じていることが少なくありません。そして、その被害感情を静めることができなければ、刑事告訴をされてしまう可能性があります。
そのため、示談をまとめるためには、現実的な返済手段を提案して、経営者の方の被害感情を静めることが重要になります。例えば、再就職を決めて、その給与額と返済に回せる金額を提示することができる、というのは良い交渉材料になります。

さらに、③についてですが、会社のお金に手を付けてしまう場合、加害者の方ご自身が経済的に困窮していたというケースが少なくありません。その場合、②で説明したような自分で働いて返すという方法だけでは、勤務先を説得ができないことがあります。そのようなときには、連帯保証人をつけるよう、勤務先から依頼されることがあります。

 

以上が、横領事件における示談のポイントになります。