脅迫事件の概要

⑴ 脅迫は、

ア 他人またはその親族に対し、

イ 生命、身体、自由、名誉または財産に対し害を加える旨を告知して、

ウ 脅迫した、場合に成立します。

「親族」の範囲は、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族とされています。

「告知」とは、直接的・間接的を問わず、暗示する方法でもよいとされています。

「脅迫」について、告知する害悪は他人を畏怖(怖がらせる)させるに足りる程度である必要があり、単に不安感を感じさせる程度では足りません。他方、一般的に他人を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知がされていれば、実際の相手方が畏怖しなかったとしても脅迫の成立に影響はありません。

なお、法人に対する脅迫は成立しないとされています(ただし、代表者や関係者に対して脅迫が成立する場合はあります)。

⑵ 脅迫に関する罰則は次のとおりです。

2年以下の懲役または30万円以下の罰金

弁護活動のポイント

脅迫の場合、速やかに被害者と示談交渉を開始することが重要です。

早い段階で被害者との示談が成立すれば、逮捕・勾留を免れる可能性が高くなり、逮捕・勾留後においても、不起訴・執行猶予となる可能性が高くなります。

Q&A

⑴「親族」に恋人は含まれますか?

⇒ 含まれません。友人や職場の上司等についても同様です。

ただし、恋人や友人に対する害悪の告知が相手方やその親族に対する加害を暗示するような場合には脅迫が成立することになります。

 

⑵害悪の告知が相手方に伝わらなかった場合でも罰せられますか?

⇒ 脅迫の未遂は処罰されません。そのため、害悪告知の手段を講じたが、相手方がその告知内容を知るに至らなかった場合、脅迫では処罰されません。