平成30年4月11日、滋賀県彦根市の交番で、19歳の司法巡査が、41歳の巡査部長を銃殺するという衝撃的な事件が起こりました。
一部報道によれば、被害者の警察官は交番内で頭部を撃たれたとのことであり、犯人は、「罵倒されたので撃った」と供述しているようです。

今回の事件は、言うまでもなく、殺人罪(刑法199条)に当たる可能性があります。
そして、あまり報道されておりませんが、犯人は19歳ですので、「少年」(少年法2条1項)ということになります。

1 少年事件について
誤解されることが多いのですが、少年事件として扱われるのは少年審判の時点で20歳未満であることが必要です。
したがって、少年審判で処遇が決定される前に20歳になった場合は、成人と同じく刑事裁判が開かれます(裁判員裁判となります)。

なお、今回の事件は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件と評価され、原則として検察官送致(いわゆる「逆送」)となります(少年法20条2項)。逆送された場合には,少年であっても、大人と同じく刑事裁判が行われます。

2 故意について
さて、刑法上の犯罪が成立するためには、行為者の「故意」、すなわち罪を犯す意思が必要となります(なお、故意がない場合でも過失犯として処罰されることもありますが、これは例外に位置付けられます)。
「故意」は犯人の主観面を表しますので、「故意」があるというためには、行為者が犯罪の実現を認識しこれを認容している必要があると考えられます。
今回の事件では、犯人は、身体の枢要部(すうようぶ)である被害者の頭部めがけて、殺傷能力が極めて高い武器であるピストルを発砲したことになります。このような事情からすると、犯人は被害者の死亡を意図していたとすら評価でき、強固な殺意(故意)が認められる可能性があります。
他方で、罵倒されたから撃った、という発言からは、衝動的な犯行であるとも評価し得ますので、犯行の計画性までは認められない可能性もあります。

3 アメリカの銃規制問題(デモ)
余談ですが、最近、アメリカでは一般人による銃乱射事件などが起きており、社会問題となっております。
社会の安全のために、全員が武器を持つべきか、一部が武器を持つべきか、あるいは全員が武器を捨てるべきか、悩ましい問題であると思います。