先日、有名居酒屋チェーンの男性店長が、店内の更衣室において、携帯電話を用いて女性店員の着替え姿を盗撮し、懲戒解雇処分となった、というニュースが報じられました。
その後、女性店員とみられる人物が、ツイッター上で、男性店長が逮捕されないのはおかしい、との意見を述べたとされています。
現在、捜査機関による捜査が行われているとのことですが、男性店長の盗撮行為にはどのような法律が適用されるのでしょうか。
まずは、迷惑防止条例の適用が考えられます。
ただし、迷惑防止条例は各都道府県により内容が異なっており、公共の場所以外でなされた盗撮行為については規制の対象外としているものもあります。
今回、問題が発覚した店舗は京都市内に存在するとのことですが、京都府の迷惑防止条例は、盗撮行為に関して、以下のような規定をしています。
「何人も、みだりに、公衆便所、公衆浴場、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所における当該状態にある他人の姿態を撮影してはならない。」
今回の盗撮行為は店舗内の更衣室で行われたものであるため、条文を素直に読む限り、「公衆が利用できる」という条件を満たさないのではないかという疑問が生じます(なお、東京都迷惑防止条例は盗撮行為が行われる場所の公共性を条件としていませんので、今回の盗撮行為についても適用があるものと考えられます)。
次に、軽犯罪法の適用が考えられます。
軽犯罪法は、盗撮行為に関して、以下のような規定をしています。
「左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
…
正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」
これは包括的な規定であるため、今回の盗撮行為も条件を満たすということになりそうですが、軽犯罪法の罰則は極めて軽いため、迷惑防止条例違反となる場合との罰則の差が気になります。
以上のとおり、迷惑防止条例による場合には都道府県ごとに適用の差が出ることが問題となり、軽犯罪法による場合にはその罰則の軽さが問題となります。
盗撮行為に関するそのような状況を踏まえ、最近では盗撮行為を直接の対象となる盗撮罪の新設を求める声も上がっているようです。
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