万引きを繰り返してしまう方がいらっしゃいますが、その原因は貧困に限られず、様々なものがあり、検討すべき弁護の方法も多岐にわたります。
例えば、生来の知的障害や認知症が犯罪の原因になっているというケースもあり、このような方の刑事弁護を行う場合、責任能力(自身の行動の善悪を認識して犯罪を回避する能力を言いますが、これが無いと犯罪は成立しません)・訴訟能力(裁判を受けるための能力を言いますが、これが無いと有罪判決を下すことができません)が無いという主張をしたり、障害や認知症から犯罪へと至る傾向を改善するための環境調整をしたりする場合があります。
この点、認知症の方の場合、弁護士が何を質問しても全く答えられないような方もおり、そのような方は責任能力や訴訟能力が無いという主張を行うことを検討すべきですし、成年後見人という認知症の方に代わって財産管理を行う人を選任し、認知症の方が経済的に困らないような環境調整をする必要が出てきます。
また、都道府県から療育手帳を交付されているような知的障害をお持ちの方の場合、作業所での就労が可能でありますので、そちらで就労をすることにより経済的自立ができるよう環境調整をしたりする場合もあります。
このような弁護活動はほんの一例であり、万引きを繰り返す人の原因は他にもございます。病気や障害が原因とまではいかなくても、家庭環境によるストレスによって万引きをしてしまう方などもいらっしゃいます。
そして、弁護活動においては、そのような方々の犯罪の原因が何であって、どうやったら犯罪を繰り返さないようなるか再犯防止策をあきらめずに探していく作業が必要となり、ご家族、社会福祉士、臨床心理士、医療機関、市町村など、様々な関係者の方と協力をして再犯防止策を探っていくことも検討します。