常習累犯窃盗とは、
①過去10年の間に、窃盗罪で6月以上の懲役刑を3回以上受けた(※執行の免除を得た場合も含みます)人が、
②常習として窃盗を行うこと
を意味します。
この罪の法定刑は3年以上20年以下の懲役です。
窃盗をしてしまった事実自体を争うことが難しい場合に行う弁護の方法としては、
①酌量減軽を求める。
②法定刑の範囲内で、軽い判決を求める。
③責任能力を争う。
という方法があります。
①は、常習累犯窃盗事件で起訴されるのが初めてである場合には、必ず検討すべき弁護方法です。酌量減軽が認められると、法定刑の下限である3年よりも短い懲役刑の判決が出る可能性があります。当事務所で扱った事例では、3000円程度のものを万引きして、全額の被害弁償を行ったというケースがありましたが、判決が3年よりも短い懲役2年になりました。
②は、酌量減軽が難しい場合に検討します。当事務所で扱った事例では、常習累犯窃盗での起訴が9回目という方の弁護を行ったケースがありましたが、被害金額が5000円程度で、被害品をいずれも被害者の方に戻し、かつ、刑務所を出所した高齢者の自立を助ける地域定着支援センターを刑務所の出所後に利用することを、ご依頼者の方に裁判の場で約束してもらい、かつ、再度盗みをしないことを誓約してもらったことで、判決が法定刑の下限である懲役3年になりました。
③は、障害などにより、犯罪を行った人が犯罪を避けるための判断能力(責任能力と言います)を欠いていた、もしくは、不十分であったという場合に行う弁護方法です。責任能力が無いと裁判で認められた場合は刑罰を受けませんし、責任能力が不十分であると認められた場合には刑が減軽されます。
この点、犯罪を行った方が過去に病気の診断を受けたことが無い場合は、犯罪を行った人に障害があることを弁護士が気づきにくいので注意が必要です。この場合、犯罪を行った方と話をしてみて、物忘れが激しい、犯行動機を聞くと合理性に欠けると感じたときには、鑑定や身柄釈放後に医師の診察を受けてもらうことを検討します。