紛争の内容
ご依頼者の方が、脅迫の被疑事実により警察および検察からの捜査対象となった事案です。
ご依頼者の方は、脅迫行為にあたる事実自体については真摯に認めておられました。しかし、背景にはこれまでの人間関係に起因する根深い問題があり、単なる刑事事件としての解決だけでは、被害者の方の納得を得ることが難しい状況にありました。

交渉・調停・訴訟等の経過
弁護人が介入し、示談に向けた交渉を開始しました。
対話の過程で、被害者の方は本件の脅迫行為そのものだけでなく、事件とは直接関連のない過去の経緯や関係性についても強い思いを抱いていることが浮き彫りになりました。
そこで、弁護人は単に「謝罪と賠償」という形式的な交渉に留まらず、被害者の方が抱えていた付随的な問題についても包括的な解決を図るべく、丁寧な協議を重ねました。
一つひとつの問題について、ご依頼者の方の意向を汲み取りながら弁護人を介してやり取りを継続した結果、双方の間で長年わだかまりとなっていた根本的な問題が少しずつ解消されていきました。

本事例の結末
付随的な問題が解決した段階で、改めて刑事事件としての示談を申し入れたところ、被害者の方から「すでに問題は解決したと思っている」との言葉をいただくことができました。
当初あった処罰感情が消失したことを確認し、その結果を速やかに検察官へ報告いたしました。これを受け、検察官は本件を不起訴処分と決定しました。
不起訴となったことで前科がつくことはなく、ご依頼者の方のご職業や社会生活に対しても、何らの悪影響を及ぼすことなく事件を解決することができました。

本事例に学ぶこと
刑事事件の解決において、単に法的な枠組みの中だけで示談交渉を進めるのではなく、その背景にある人間関係や付随するトラブルにまで目を向けることの重要性を再認識させられる事例でした。
被害者の方が「本当に納得できない点」がどこにあるのかを弁護人が的確に把握し、事件の引き金となった根本的な対立構造を解消したことが、結果として処罰感情の消失と不起訴処分の獲得に繋がりました。
当事者同士では感情的な対立から話し合いが困難なケースであっても、第三者である弁護人が間に入ることで、冷静かつ包括的な解決の糸口を見つけ出せることが、本事例の大きな教訓と言えます。

弁護士 遠藤 吏恭