紛争の内容

私学を中退後,窃盗を繰り返す少年事件を担当しました。

複数の窃盗事件であり,保護観察中の犯行でした。

 

交渉・調停・訴訟などの経過

頻繁に鑑別所に通い,意思疎通を図りながら,親御さんとも面談を行い,三者面談を通じて,あるべき家族関係の構築に努めました。また,被害者に対する謝罪,被害弁償を進めました。被害弁償の一部は,無事に審判日までに完了しました。

 

本事例の結末

少年審判の当日には,少年自身の言葉で,事件のことや現在の心境,今後のことについて語ってもらいます。また,親御さんにも,少年との向き合い方について語ってもらいます。少年は,親御さんがお話しをする時に涙を流しながら,後悔している旨を述べておりました。

その結果,保護観察中に繰り返された犯行ではありましたが,少年の反省や親御さんの気持ちが裁判官にも伝わり,通常は1年のところ,短期間(半年)の少年院送致が決まりました。

 

本事例に学ぶこと

少年事件の原因は,多くの場合,家庭や学校の環境に問題が孕んでおります。

弁護士が付添人活動でできることは,期間も含めて限られますが,できる限り少年やその家族と面談をして,少しでも環境や気持ちが改善するように努めます。また,被害者のいる犯罪では,被害弁償を進めます。

なお,後日談ですが,審判後,少年に会うため,少年院まで面会に行きました。審判直前は緊張等から明らかに不安な表情をしておりましたが,少年院では,前向きな発言や明るい表情が見受けられました。

少年院は,刑務所とは異なり,少年を更正させるためのプログラムが組まれております。

弁護士は,少年院送致を避けるための諸活動に取り組みますが,少年院には良いところも多くあることは忘れないようにしなければなりません。