紛争の内容

相談者は、交通事故を起こし、人を死亡させてしまいました。その結果、検察官から、過失運転致死罪で起訴され、禁固2年6月の求刑を受けました。そのため、当事務所の弁護士が、依頼を受け、弁護人に就任しました。

交渉・調停・訴訟などの経過

依頼者は、哀悼の意を表明していました。弁護人としては、自動車を処分したことや行政処分(免取)を受けたこと、任意保険会社の支払状況等を確認の上、証拠として提出することとしました。また、裁判では、家族に情状証人として出廷してもらうなど、協力をいただきました。弁護人の意見としては、結果は重大であるが、行為類型を見ると、ひき逃げ事件や飲酒運転事件などの故意による犯罪ではないことを主張した上、本人が深く反省し、捜査にも全面的に協力していることはもちろん、任意保険会社による被害弁償が受けられる可能性が高いことや本人が二度と運転しないと誓約していること、家族が監督をすることなどをすべからく主張し、執行猶予を求めました。

本事例の結末

執行猶予付きの判決が言い渡され、刑務所に行くことは避けられました。

本事例に学ぶこと

刑事事件では、結果のみならず、行為の悪質性、故意の程度なども問題となります。もしかしたら、違和感を持つ人もいるかもしれませんが、結果が同じであっても、その結果に至る行為がどういう態様、内容、故意であったのかが、刑事罰を決める上で欠かせない考慮要素となります。
例えば、人の死という結果が起きた場合であっても、故意に人を殺した場合の殺人罪と、今回のような誤って人をひいてしまったような過失運転致死罪とは、人の死という結果は同じですが、法定刑が大きく異なります。前者は、「死刑又は無期もしくは5年以上の有期懲役」であるのに対し、後者は、「7年以下の懲役または禁錮もしくは100万円以下の罰金」となっています。これは、結果のみならず行為に着目していると言えます。
裁判のルール上、弁護人は、被告人のために力を尽くします。弁護人が必要な方は、当事務所をお尋ねください。
 
弁護士 時田剛志