①手渡し詐欺の受け子役で、被害者の一部と示談し、執行猶予を勝ち取った事例

②被告人は22歳の男性。大学に籍は置いていたもののほとんど通っておらず、アルバイト 先の先輩を通じて知り合った人物から、「割のいい仕事」として手渡し詐欺の受け子(被害者から直接現金を受け取る役)の仕事を紹介された。被告人は遊興費欲しさに、顔の見えない指示役に言われるまま、指定の場所に赴いて被害者から金銭を受け取り、受け取った現金を駅のコインロッカー等に入れる、ということを繰り返した。
起訴された事実は全5件。被害総額は300万円を超えていた。
なお、被告人は本件が初犯で、前科前歴は一切なし。

③被告人の両親が被害弁償金を用意すると申し出てくれたため、検察官を通じて、5件の被害者に弁護士に連絡先を教えて欲しい旨を申し入れたが、うち3名の被害者は示談の意向が全くなく、連絡先の開示自体拒否された。残り2名の被害者は連絡先を教えてくれたため、弁護士の方から連絡を取り、被告人本人の謝罪文を送ると同時に示談交渉を行った。交渉に時間はかかったものの、それら2名の被害者が被害弁償を受け入れて下さり、最終的には宥恕文言(被告人の行為を赦し、その刑が軽くなることを望むという意味)入りの示談書を取り交わすことができた。

公判にはそれらの示談書を提出するとともに、両親が情状証人として出廷して被告人を自宅でしっかり監督し、学業を含む生活全般を改善させる旨を誓約してもらった。

④懲役3年執行猶予5年の言い渡し。初犯でも実刑の可能性が極めて高いと言われる振込詐欺系の事案で、執行猶予を勝ち取ることができた。