①口喧嘩から相手方である友人を怪我させてしまい、逮捕・勾留されたものの、示談せずに不起訴処分で終わった事例

②被疑者は40代の男性。個人でやっている小さなお店を経営していた。趣味であるギャンブルを通じて知り合った友人と飲んでいたところ、その友人の態度が悪かったため、激高して暴力を振るってしまい、翌日その友人は「暴力のせいでむち打ちになった」などと警察に被害届を出し、逮捕されてしまった。
被疑者には10年以上前の交通違反歴等はあるものの、懲役刑になるような前科はなかった。

③被疑者は、自分の家族にも協力してもらい、被害者とされた友人に対し、治療費等として20万円を用意したが、被害者側は、「自分の収入は月額80万円を下らない。20万円などというはした金は受け取らない。治療費も100万円以上かかっているから賠償しろ。」などと求めてきた。
しかし、弁護人から被害者の収入証明や、通院してかかったという治療費の領収証等の開示を求めても、被害者はこのような開示請求に全く応じなかったため、示談はできないままであった。この間、起訴・不起訴を決める検察に対して、被害者とのやりとりをつぶさに報告し、被害者が受け取らなかった20万円についても、弁護人が責任をもって預かり、要求があれば直ちに支払う用意があることを説明していた。
結局、勾留満期の日になっても被害者との示談は適わなかった。

④結局、本件について示談はできなかったものの、検察官は本件を処分保留とし、被疑者は無事釈放された(本件は、後に不起訴処分となった。)。