紛争の内容
ご依頼者の方が覚醒剤の使用および所持の容疑で逮捕・勾留され、その後に公判請求(起訴)された事案です。
尿検査の結果から覚醒剤の使用は明らかであり、ご依頼者の方も事実を認めておられました。
本件において最大の懸念点は、ご依頼者の方に過去2回の覚醒剤使用による前科があり、今回が3度目の立件であったことです。同種の犯罪を繰り返していることから、実刑判決が強く見込まれる非常に厳しい状況でした。
交渉・調停・訴訟等の経過
ご依頼をいただいた時点では、すでにご依頼者の方は被告人として勾留されている状態でした。まずは心身の負担を軽減し、社会復帰に向けた準備を整えるため、保釈申請を行いました。
3度目の薬物事件ということで、裁判所の判断も慎重になり保釈は困難を極めることが予想されましたが、ご家族による厳重な監督体制などの証拠を詳細に提示した結果、無事に保釈が認められ、身柄を解放することができました。
保釈後は、二度と薬物に手を染めないための具体的な実績作りを優先しました。ご依頼者の方には専門の医療機関へ通院していただき、当職は主治医と綿密な打ち合わせを重ねて、治療の経過や回復の見込みに関する意見書を作成していただきました。
裁判においては、ご家族にも情状証人として出廷していただき、今後の更生環境を立証するとともに、前科から一定の期間が経過していることや、過去の過ちの際とは更生への決意・環境が根本的に異なることを強く主張いたしました。
本事例の結末
裁判の結果、3度目の覚醒剤使用という厳しい情状の中ではありましたが、保釈中の通院実績や家族の深い理解、そして当職による環境改善の立証が認められ、無事に執行猶予付きの判決を獲得することができました。
本事例に学ぶこと
本事例を通じて痛感したのは、たとえ同種の前科を重ねている厳しい事案であっても、早期の身柄解放と実効性のある更生環境の構築がいかに重要であるかということです。
単に反省を口にするだけでは実刑を回避することは難しく、保釈を勝ち取って実際に通院治療を継続し、その実績を主治医の意見書という客観的な証拠で裏付けることが裁判所の判断を動かす鍵となりました。
また、ご家族の協力のもとで「これまでとは違う」という具体的な生活基盤の変化を法廷で明示できたことが、稀有な執行猶予判決という結果に繋がったのだと考えられます。
弁護士 遠藤 吏恭







